[Di]「初音ミク」が消える? ―検索エンジンを過信するな!

トップページ> インターネット , 2007年10月20日

「初音ミク」で検索しても検索結果に表示されない――今こんな現象がGoogleやYahoo!で起こるようになっており、「電通の陰謀ではないのか」といった陰謀説まで飛び出すようになってきている。やれやれ、いったいどういうことだろう。

ことの内容は簡単な話である。Googleのイメージ検索で「初音ミク」と検索しても、初音ミクの画像が一切表示されない、というただそれだけの簡単な話だ。しかし「2ちゃんねる」では複数の「不可解な話」にからめこれを「電通の陰謀」とする説が流れている。

話はこうだ。近年、電通はホリプロと組んでバーチャルアイドル「伊達杏子」というものを売り出し始めた。しかしこれは全く売れず、話題にもならなかった。近年この伊達杏子をセカンドライフ(セカンドライフは電通が支援していると言われている)上で復活させる、という動きがあったのだが、しかしここに表れたのが「初音ミク」。つまり簡単にいえば、自分たちが莫大な広報費をかけて宣伝したのに全く売れなかった「伊達杏子」に対し、ほとんど宣伝もせずに「ネットアイドル」として爆発的な人気を博した「初音ミク」が妬ましい、だから検索エンジンやWikipediaに圧力をかけて消させたのではないか、というのである。

これに関連し、「亀田 反則」などの画像もすべて表示されなくなっていることから、Googleが何らかの規制を敷いていることはもはや確実である、といわれるようになった。

……とここまで書いたが、正直そんなことはどうでもいい。陰謀論なんてしょせん嘘だ。だいたい、「初音ミク」で検索してももともと画像はひっかかりゃしなかったのだから、この件は単に画像検索という技術自体がまだまだ未熟であるということの証明にしかなっていない。この件に隠れていること、それは結局のところ我々はまだまだ検索エンジンが「我々の側」に存在すると思い込んでいるところである。つまりかつてマスコミの情報をうのみにしていたように、検索エンジンの情報をもまた我々はうのみにしてしまっているのだ。

Web2.0という時代に入る中、我々は検索エンジンを「ネットの中心」ともいえる位置に位置付けた。ページとページ、あるいは情報と情報は検索エンジンによってひとつの「検索結果」として結び付けられ、ほとんどすべてのユーザーがそこからサイトに訪問する。その中で我々は「Googleは何でも検索結果に入れてくれる、情報を全部整理してくれる、とっても素晴らしい企業だ」というような具合で盲目的に検索エンジンを崇拝していた。我々は彼らが営利企業であることを一切忘れ、ウェブのためになら何でもやってくれる救済者のような存在だと思い込んでいたのである。

しかしそれは嘘だ。Googleはインターネットをより使いやすくするための企業でもなければ、ネット上に「集積知」を作る存在でもない。彼らは単なる「営利企業」であり、検索結果から特定の情報を消すことで発生する損失と、それによって企業から得られるマージンについて、多角的な視点から後者のほうが理にかなっていると判断すれば、後者をとる企業である。Googleは我々の味方ではないのだ。

「Googleが自らの利益のためにとある検索結果を消す」、そんなことはいつあってもおかしくないし、げんに今行われている可能性すら存在する。すでにインターネット自体が検索エンジンがなければ活用できなくなっている今、インターネットは彼らに支配されているといっても過言ではない。彼らは隠したい情報を隠し、流したいデマを強調することができる。いわば検索エンジンとは情報を独占的に操作できるネットにおけるメディアのような存在であり、それだけに彼らが「われわれ=利用者の側」にいないことは十分に理解したうえで検索エンジンと付き合っていかなくてはならない。

今回の「初音ミク」の真相は、おそらく画像検索の精度不足、ということで決着がつくだろう。しかし今後、検索エンジンが検索結果を偽装するともわからない。結局のところ我々は検索エンジンなしでネット上で情報をつかむことはほとんど不可能であり、特定の企業に不利益な情報を検索エンジンがすべてアクセス不能な状態にしてしまえば、その情報をつかむ人間の数は極端に少なくなってしまう。ネットにはほとんどすべての情報があると思ったら大間違いである。実際には隠されている情報・ネットに出回っていない情報のほうが格段に大きく、すでにネットは検索エンジンのものになりつつある。

「メディアリテラシー」というものがさんざん騒がれる時代になった。しかしネット上で「メディアリテラシー」を盛んに豪語する人間も、実は「検索エンジンリテラシー」ともいえる「検索エンジンにおける検索結果を適切に判断する能力」はもちえていないのではないだろうか。我々は今、検索エンジンとはどういう存在なのかを改めて考え直し、Googleを盲目的に崇拝する現状を問い直さなくてはならない。


投稿者 admin : 2007年10月20日 01:00

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