[Di]Windows Vistaから、OSは新しく進化する

トップページ> コンピュータ > ソフトウェア , 2007年01月17日


あと2週間ほどでWindows Vistaが発売される。2001年にWindows XPが発売されてから、すでに5年以上が経過しているが、これはWindows XPが基本的には完成されたOSであることを示しているのではないだろうか。つまり、マイクロソフトはService Packで機能拡張されたセキュリティ問題や同梱ソフトウェアの問題以外、Windows XPが「中途半端な」OSであるとは考えていない、ということである。

思えば、Windows XPはコンシューマー向けOSとして初めてWindows NT系カーネルが採用され、Windows98/Meを使っていた多くのユーザー(Windows 2000を使っていた人よりも、Win9x系を使っていた人の方が圧倒的に人数が多い)は、9x系の非常に大きな問題点であったフリーズの頻発から解放された。もちろん、当時はPentium4搭載マシンがようやく出てきたという段階であり、搭載されているメモリも少なかったが、それでもWindows XPは9x系が持っていない大きな利点を持っていた。ブロードバンド時代のOSとして、Windows XPは一つの時代を担うOSとなった。そして発表から5年間以上、Windows XPは世界でもっとも選ばれたコンシューマー向けOSとして、多くのPCに搭載された。

現在のPCの性能はWindows XP発売当初とは比べものにならないほど飛躍的に向上した。しかしその中でもWindows XPは多くの人の期待に応えることのできるOSである。不備な点、たとえばセキュリティ問題などはサードパーティー製のソフトウェアを使用することである程度回避可能であるし、XPこれといった重大な欠陥を抱えているとは思えない。そして、Windows Vistaが我々のコンピューティングを大幅に変革するようにも思えない。では、Windows Vistaは我々に何をもたらそうとしているのか。

前述の通り、僕はコンピュータというのは成熟期に入ったと考えている。Windows 95、98(SE)、Meというコンシューマ向けWindowsは、どれも機能的にユーザーが大きく意識してしまうであろう何らかの欠陥を抱えていた。だが、Windows XPは普通に使っている限りでは文句ないOSである。Windows XPで人々が求めたいと思っていた機能はそのほとんどが搭載された。消費者が抱える問題を解決する形でOSが登場する時代は、ここで幕を下ろしたと言っても過言ではない。これからのWindowsは、まさにマイクロソフトの理念を実現するためにリリースされていくのではないだろうか。

Windows Vistaの理念 -「中心の端末」としてのPC
では、マイクロソフトがWindows Vistaに託したものとは、いったい何なのだろうか。もちろんビジネスをもっとやりやすくするだとか、あるいはインターネットをもっと楽しくだとか、そういう個別の要素だって含まれる。しかしその根本にあるのはおそらく「Windows Vistaを中心として情報家電を統合する」ということだろう。Ultimate Editionに搭載された旧Media Center Editionを継承するマルチメディア機能は、PCが情報家電を統合する存在となりつつあることを暗示してくれる。ただし、そのためには、「中心としてのVistaの機能強化」と「周辺としての端末の進化」が必要となる。Vistaが情報家電を統合するための中心的な役割を担うためには、それが使いやすいものである必要がある。そのために開発されたのが、ユーザーインターフェースの刷新である。ご存じのように、VistaにはAeroと呼ばれる美しいUIが採用されている。また、中心としての端末には、莫大な情報を管理する能力が必要となる。新しく追加された「デスクトップ検索」機能は、これを強化するものとなるだろう。

PCが「PC」という単体に収まらなくなる
PCを中心とした情報端末のネットワーク化には、情報端末の協力が不可欠である。そもそも、「PCを中心としたネットワーク化」とは何だろうか?それは、多くの端末をPCで一元的に管理し、その端末をPCに接続することで、PCの情報を外に持ち出したり、あるいはPCと端末を連携させることで生活がPCで一元的に管理できるようになるということだろう。たとえば我々が今使っているポータブルプレーヤーは、PCなしでは使用できない。あるいは、日本ではなじみの薄いPDAも、「PCの情報を外に持ち出す」という発想に変わりつつある。PCと連携させることで、今使っているものがもっと使いやすくなるというのが、Windows Vistaの提案する「ネットワーク化」である。

自宅がネットワーク化する。

今はあまり思いつくことがないが、たとえばHDDレコーダーとテレビ、CDコンポ、携帯電話、エアコンというそれぞれ独立した機械が、PCを中心として再構成されるといったことが考えられる。携帯電話はまさにPCを外に持ち出すために使われる。携帯電話で自宅のPCにアクセスし、HDDレコーダーに予約の指令を送る、あるいは家に帰るとちょうど部屋が冷えているようにクーラーを設定する。そんな些細なことだけではなく、たとえばPCに取り込んだムービー、データとして購入した映画をHDDレコーダーに転送し、テレビに映す。あるいは、PCの画面をそのまま大画面TVに写し、家族で写真を楽しむ。あるいは録画したテレビ番組をコンピュータに転送して管理する。そして携帯に転送し、移動中に楽しむ。そういった「情報家電のネットワーク化」を促進するためのOSが、Vistaである。

家だけにとどまらないネットワーク
Windows Liveというのはインターネット上のツールにとどまらず、マイクロソフトの推し進める情報化の「考え方」をも示してくれるものとなるだろう。Windows Liveという「どこでも同じものが使える」発想は、家のネットワークを外部からも操作できるようにする可能性を秘めたものである。家の家電すべてがネットワーク化されていれば、冷蔵庫の中に入っているものを外から確認したり、あるいは自動車から自宅にアクセスし、自宅にあるPCから音楽を取得できる。さらに、自宅にあるすべてのものにICタグがつけられれば、自宅の異変を瞬時に察知することができる・・・

山積みの問題点
もちろん今書いた内容は夢物語でしかないし、セキュリティに問題があれば自宅がすべて筒抜けになってしまう問題点もある。「別に自宅がネットワーク化されなくたって、今のままで十分便利じゃん」という声だって多いだろう。自分だってそう思う面もある。さらに、未だ「ネット家電」と呼ばれる、このような「連携」に対応した家電が少ないこともあげられる。ただし、マイクロソフトが自ら発表した「Zune」「Xbox」「Windows Mobile」「Origami」等は、すべてこの思想につながるものである。
そして、そういう近未来の生活というのが、僕たちのすぐそばまで迫っているということは、とても面白いことである。

最後に
ニュースを見る限りビル=ゲイツも将来的にコンピュータをデジタルハブとして自宅をネットワーク化できるようにする構想を描いているようだ。中心の端末=デジタルハブとしての可能性を持った新時代のOS、Windows Vista。このOSは、XPで一応の完成系を見た「Windows」が新しい段階に羽ばたいていく、最初のステージとなる気がするのだ。映画の中で見た道の未来は、今僕たちのすぐそばにある。そしてWindows Vistaはその第一歩となるはずなのだ。
Windows Vistaというのは、それ単体ではWindows XPとさほど変わらないかもしれない。というか、正直なところ現状ではWindows Vistaを導入する積極的な理由は、OS Xをメインとして使用している僕にとってはほとんど見あたらない。が、Vistaはマイクロソフトが「ネットワーク化」に向けて動き始めた一つの事例として見ることができるのではないだろうか。

補足
今回の記事では、他のOSには全く言及していない。だが、OS Xだって「デジタルハブ」としての構想を持つ。OS XとWindowsにはどちらも一長一短なところがあるが、その中でWindowsが「周辺」を作り出す端末をオープンにしていることは注目に値するところであると思う。OS Xは多くを自社製品で固めようとするが、Windowsはサードを容認する。

むろん、Windows Vistaがホームネットワーク化を推し進めることが出来なければ、PCはそこで停止してしまい、PC以外の何かがその代役をはたすことになる。そういった意味では、ニーズにあったネットワーク化、プライバシーとネットワークの境界線の問題などを適切に処理できるOSでなければ、Windowsはもはやここまでだろう。

投稿者 admin : 2007年01月17日 19:53

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