[Di]最近のASCII(アスキー)はPCユーザーを裏切っている -月刊アスキーに見る
トップページ> ブックス , 2006年10月25日
月刊アスキーといえば、アスキーの花形だった。出版社の名前を冠した雑誌であることからも分かるように、「月刊アスキー」は「株式会社アスキー」を代表する雑誌であるはずだし、そうでなければならない。月刊アスキーは、株式会社アスキーを代表する雑誌でなくてはならない。
今回、月刊アスキーがリニューアルされた。リニューアルされて、「ビジネス雑誌」というものになった。この中途半端な位置づけに対しては、はっきりいって残念だと言わざるを得ない。だいいち、リニューアルしたコンピュータ雑誌というのは、のちに廃刊となるか(「朝日新聞社『ぱそ』->『ビジネスぱそ』->廃刊」の事例や、「ソフトバンク『PC USER』リニューアル後の廃刊の事例など)、もしくはユーザーから見捨てられて自己満足的な雑誌に終わってしまうか(アスキー「Mac Power」の事例)、どちらかになるに決まっている。なぜか。
そもそも、アスキーはビジネス雑誌を作るような会社じゃなかった。もともとアスキーという会社の意味が「あなたの好きなコンピューター一緒にいいことしませんか?」の略語であることからも分かるように、アスキーの専門分野はビジネスではなくコンピュータだ。月刊アスキーがPC雑誌からビジネス雑誌へと転換を図ったのは、まるで文芸春秋が週刊少年ジャンプのようなないようになってしまったのと同じくらい、僕にとっては衝撃的だった。
「ビジネスとITのギャップを埋める」
これは、新装刊月刊アスキーが使用している標語である。しかし、はたしてビジネスとITの間にギャップ等あるのだろうか?すでに多くの人が「IT」はビジネスにおいて必要不可欠な物であると認識しているし、月刊アスキーが今回行っている特集記事のようなものは、すでに「フォーブス」「プレシデント」「東洋経済」といったビジネス雑誌がもっと深く掘り下げて行っている。「ケータイキャリアの今後」について、その機能の面から追及したい人は「携帯電話を専門に取り扱う雑誌」を読むし、ビジネスの面から追及したい人は上に上げたビジネス雑誌を読む。つまり、月刊アスキーのような中途半端な雑誌は誰からも読まれないのではないかと思うのだ。
かつて、MAC Powerという雑誌が存在した。Mac Powerは、いろいろな角度からベンチマークを行ったり、新しいソフトウェアについてレビューをしたりして、非常に面白い雑誌だった。しかし、Mac Powerはリニューアル後、全く別の名前に変わってしまった。同姓同名だけれども、全く性格が違う人物が現れたような感じだ。事実、多くのMac UserはMac Powerなんて読まなくなってしまった。それくらい、Mac Powerは「mac」とは離れてしまったのだ。
それと同じようなことが、この「月刊アスキーのリニューアル」にもおころうとしている。かつて、PC専門の雑誌であった月刊アスキーが、「ビジネスとITのギャップを埋める」「ビジネス雑誌」になろうとしている。しかし現実には既にITはビジネスの一部として認知されているために前者のようなギャップは存在せず、また巨万の富を生み出すITはビジネス業界からも注目されていて、ビジネス雑誌だって盛んに特集をしている。こんな時代に、こんな中途半端な雑誌の意味はあるのだろうか?
以前、週刊アスキーが紙面をリニューアルさせたことがあって、その時も失敗した。その時の理由は、「アスキーという名前はコンピュータ系だという印象が強過ぎる」ということだったと思う。今回も、アスキーがIT系ビジネスを専門とした新しい雑誌を作る、というものなら良かったかもしれない。中途半端に「月刊アスキー」の名前を引き継いで、既存の読者からも見放され、新しい読者も「アスキー=PC」のイメージが強すぎて取り込めない、そんな雑誌になってしまうのではないだろうか。
PC専門のASCIIだから出来る IT専門ビジネス雑誌」、そんなのならある程度は売れたかもしれない。けれども、「月刊アスキー」の名前を冠していることで、そういうイメージが持てないのだ。
「PC雑誌から卒業する」という言葉が、悲しく響いている。
投稿者 admin : 2006年10月25日 20:49
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