[Di]パル判事(パール判事)の「日本無罪論」と朝日新聞

トップページ> 社会 > アジア , 社会 , 2006年07月12日

今日の朝日新聞に、「パル判事の日本無罪論とは何か」ということで、大々的に記事が書かれていた。朝日新聞だから何を書いているのかな?とおもったら、なんてことはない、

パル判事は日本は法律的には無罪と確かに証言したが、日本の軍国主義そのものを肯定したわけではない

といっているだけだった。文章の冒頭に「小林よしのりの著書『いわゆるA級戦犯』では、パール判事の紹介に1章を費やしている」と書いてあったので、「この文章はあの本に批判する形で書かれているのかな」と思ったけれど、結局小林よしのりの言っていることとさほど違いがないことを言っているのにはびっくり。
まあ、流し読みをしただけなので、実際の朝日新聞の主張は違うかもしれませんが。

僕がざっと読んだ限りでは、

パール判事は古代ヒンドゥー法を専門としており、「ダルマ」に背く行為(=反ダルマ)に非常に厳しい人間である。また、パール判事はイギリスの軍国主義政策に怒りを覚えていた。彼は、日本が日露戦争で勝利したことに関して、白人というのは絶対ではないことを見、驚いたに違いない。しかし、彼は決して日本の軍国主義を肯定しているわけではなく、あくまでも国際法上日本は無罪であるといっているだけである。保守派の人間はよく「東京裁判はパール判事の判決にもある通り、全く無効な裁判である」という。確かに、東京裁判は国際法が個人の戦争責任をも直接さばくことができること、事後法や恣意的立法によって当該国をさばくことができることなど、おかしい面がある。しかし、日本の国際責任までが無効であるわけではない。

今ここに新聞がなく、頭で内容を思い出しながら書いているので、もしかしたら違っているかもしれないが、要素的にはこんな感じだったと思う。ただ、「朝日らしさ」がないような気もした。

僕がまず気になったのは記事中に「南京大虐殺」という言葉の代わりに「南京虐殺」という言葉が用いられていたこと。日本が当時植民地として統治した領土において、日本軍が住民を虐殺したケース(「虐殺」は必ずしも大勢というわけではない)というのはおそらくあっただろう。そういうことについて、パル判事は日本を厳しく批判しているという。それは当然のことではないのかと思うのだ。つまり、日本は確かに周辺国にとっては「悪いこと」をした。それはアメリカもイギリスもその時代の風潮がそうだったのだといえばそれまでだが、しかし日本が「悪いこと」、つまりその地域の一般人を少人数でも殺害したことは確かに「悪いこと」なのである。(もちろん、イギリスだってアメリカだって「悪いこと」をしているが、それで日本が悪くない、というのはおかしい)

こんなことは、極右の人々以外はみなそう考えていると思うのだが。先日小林よしのり『いわゆるA級戦犯』を読んだ時にも、小林よしのり自身

自分は日本の軍国主義を正当化しているわけでもなければ、戦争を望んでいるわけでもない。ただ単に、「A級戦犯」という呼称と、その呼称を導いた東京裁判がおかしいといっているのだ

といっている。

朝日新聞の記事も読み返してみればもっといろいろなことを書いてあるのだとは思うけれど、見出しが

  • 恣意的立法・事後法戒める
  • 昨年靖国神社に顕彰碑
  • 来日3回、最後は叙勲も
  • 「歴史のつまみ食い」続く
  • 小社の犯罪 不問を批判
  • 軍国主義は正当化せず
  • 残した足跡 次第に遠く
  • 彼にとっては日米同罪

となっているので、主張は大方上に書いたようなことになるのではないか。

結局今回の朝日新聞の主張は、なんだかありふれたものである気がする。ありふれた意見を、専門家がただ単に話しているだけという感じ。

しかし、なぜ今この記事を朝日新聞が出してきたかと言えば、それは北朝鮮問題に付随して怒っている「軍拡」ついてではないだろうか。朝日新聞はこの記事の最後に「非暴力主義に基づく平和を実現することがパール判事の理念であった」とする学者の意見を掲載してるわけですが、保守派が北朝鮮強硬論を主張しているのかどうか解りませんが、それに絡めてきたのでしょうかね。


投稿者 admin : 2006年07月12日 19:52

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