[Di]BCN「ウォークマンがiPodを追撃」は真実なのか
トップページ> Apple Computer , Apple Computer > iPod , インターネット , 2006年07月17日
BCNランキングが、「携帯オーディオでソニー再起か?1年ぶりシェア20%奪還でアップル追撃へ」という記事を掲載している。当サイトでは、以前よりBCNランキングのいう「シェア」というのが特定範囲での販売に限っており、利用率で考えた「シェア」とは異なるという主張をしてきたが、今回もその姿勢は変わっていない。
つまり、僕が「シェア」と聞いたとき、考えるのは特定範囲での販売数ではない。たとえばOSにおけるWindowsのシェアと聞けば、1週間あたりの販売台数を比較するのではなく、一定人数にアンケートを行った結果の使用率で考える。
同じく、SONYのウォークマンのシェアを調べたいのであれば、数千人を無作為抽出し、その中で「ウォークマンを使用しているのは何人か」というのを考えなくてはならない。しかし、この記事内においては「1週間のうちウォークマンがどれだけ売れたか」というのをシェアとして考えている。
となれば、新製品は販売された直後には一定数売れるのは確実であるので、ウォークマンの「シェア」はあがって当然である。むしろ、発売直後にもかかわらずiPodの発売数を抜けなかったことは、それだけSONYの力が落ちていることを意味している。
ここで、少しさかのぼった時点から、メーカー別の販売台数シェア推移を見てみよう。多少のデコボコはありながらも安定的に首位を走り続けるアップル。それに対し、05年7月以降、10%中盤で足踏みをするソニーは、6月で新たな動きを見せているという構図だ。途中、今年1月には、SDメモリカードをメディアとして使うユニークな製品を擁する松下が急激に追い上げた影響で、アップルが久々の50%割れを喫した。市場に変化の兆しか、と思ったのも束の間、勢いは持続しなかった。そしてこの6月、ソニーが20%超えを果たし、アップルを50%割れに持ち込んだ。追撃が本格化するかどうかは、これからの勢い次第だろう。
ここでいう「シェア」という表記も、おそらく先ほど述べた「シェア」という言葉を用いている。BCNランキングはデータを月ごとに集計しているが、その集計は「その月に販売された携帯オーディオ機器のうち、iPodはどれくらいか」というものである。長らくアップデートされていないiPodに対し、近年アップデートされたウォークマンが消費者をキャッチしやすいのは当然である。いや、通常はそのはずである。しかし、ウォークマンがiPodを抜けないのは、すでにiPodが製品として成熟しており、消費者はiPod以上の機能を求めていないということなのではないだろうか。
「“アップルとは違う道を探る”という当初の方針を転換したのは大きい。Eシリーズにはアップルが採用しているAAC(楽曲の取り込みや再生に利用する音声データ圧縮方式)もプラスし、アイポッドユーザーの乗り換えを可能にした。それに、シンプルなアイポッドに比べ、ソニーの従来製品は凝った機能が多く、そこまでこだわるユーザーがいるのか、という印象があった。いろんな商品が並んでいる店頭で、“複雑な機能がついています”と説明されても分からないと思いますよ」(WebBCNランキングの道越一郎編集長)
ようするに「アップルと同じ道を行く」ということだろう。つまり、アップルに食われた顧客を取り戻すことを目的としているのである。
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AACの導入により、iPodユーザーの乗換えが可能に
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シンプルになった
ということが書いてあるが、これはあきらかに「iPod」路線である。確かに、ソニーはiPodに奪われた客の奪還と、消費者の「シンプル」を求めるニーズを理解してきている。これに関しては評価に値するだろう。
しかし、より高度な道を行き差別化するという方法も、それはそれで面白かったかもしれない。しかし、それは目の付け所がシャープな企業などが得意とするのかもしれない。
W-ZERO3というPHSが発表された時、僕は「この図体のでかさでは、間違いなく売れない」と考えた。しかし、ビジネス層や“オタク”層に馬鹿売れ、結局十数万台を売り上げた。発売当初から売り切れが続出している。
これは、一般的な携帯電話とは一線を画し、どちらかといえばコアなユーザーを取り込もうとした、そして日本の携帯電話市場にはWindows Mobileを搭載した機種がなかったことを見たWillcomとSHARPの目論見があっさりと成功してしまったことを意味する。売切れてしまい、入手困難な状況が続いたことを見ると、おそらく製造側もここまでのブレイクは予想し得なかったはずである。つまり、「専門的に特化した製品」も売れる可能性はある。
しかし、携帯音楽プレーヤーとなると、「シンプルさ」と「高機能」の両立は難しい。外出時に高機能な面が必要になる場面は、案外少ない。そもそも、高機能を追求するせいで操作性が犠牲になったり、バッテリが持たなくなったり、もしくは頻繁にフリーズを繰り返すようになれば、それは「粗悪な高機能」である。シンプルさと高機能を以下に両立するのか、その両立こそがiPodを切り崩すことになるのではないだろうか。
マイクロソフト「Argo」は、高機能を売りにしてくるはずだ。それ単体での通信機能も備えているという。しかし、「音楽を交換する」というニーズが果たしてどれだけあるのか、そもそも著作権的にはどうなのか、それを媒介としたウイルスが発生しないのか、そういった消費者の心配を考えることも必要である。
市場のニーズは難しい。ひとついえるのは、消費者は「デザイン」と「機能」の両立を求めており、現在ではiPodがそれに一番合致しているということである。
投稿者 admin : 2006年07月17日 13:48
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